第5号(2004年10月)
先日、淡路島にいってきました。台風23号による土砂災害を間のあたりにし、自然の恐ろしさを実感しました。新潟中越地震の一刻も早い復旧を願います。
先ごろ西武グループ代表の堤さんの辞任が報じられました。
辞任のきっかけとなったのは「西武鉄道の『有価証券報告書』に虚偽の記載をしたこと」と言われています。
今回は、有価証券報告書に含まれている財務諸表(決算書)を使って、産業再生機構の活用で話題のダイエーと、同業の勝ち組であるイトーヨーカ堂&イオンと比較してみます。
すると、ダイエーのこんなウイークポイントが浮かび上がります。
ウイークポイント@
⇒借入金が過大である。これに伴い支払利息の負担が重い。
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ダイエー |
イトーヨーカ堂 |
イオン |
売上高 |
1兆3,750億円 |
1兆4,740億円 |
1兆6,760億円 |
借入金総額 |
9,820億円 |
1,330億円 |
2,120億円 |
支払利息 |
114億円 |
20億円 |
39億円 |
売上規模では3社に大きな差はありません。しかし借入金総額はダイエーが突出しています。はたして産業再生機構主導のもと、この巨額の借入金を圧縮することはできるのでしょうか?
@ 収益力のアップ(売上と粗利のバランスの検討)
A 売上債権(受取手形・売掛金)の早期回収
B 在庫の適正管理
C 遊休資産の処分
など
ウイークポイントA
⇒本業の粗利率が低い。本業の収益力自体が弱化している。
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ダイエー |
イトーヨーカ堂 |
イオン |
売上高 |
1兆3,750億円 |
1兆4,740億円 |
1兆6,760億円 |
売上総利益 |
3,110億円 |
4,080億円 |
4,240億円 |
売上総利益率 |
22.7% |
27.7% |
25.3% |
粗利率こと売上総利益率とは、本業で儲ける力を示します。
ダイエーは他の2社と比べ大きく劣っています。
ダイエーは安売りをしすぎなのでしょうか?
それとも他の2社より仕入の条件が悪いのでしょうか?
本業の儲けが少ない上に、多額の借入金を返済し、その利息を支払わなくてはならない。ダイエーが倒産の危機に陥るのも無理はありません。
●
株式を公開している企業が、毎事業年度ごとに、当該会社(グループ)に関する事業の内容や経理の状況などを内閣総理大臣(実際には各財務局に提出します)に報告・提出する文書です。
『有価証券報告書』とは
ちなみに、この内、経理の状況に関しては、公認会計士が監査を行い、その内容に虚偽のないことを証明しています。これを監査証明といいます。
この有価証券報告書はインターネットを通じて、誰でも手軽に見ることが出来ます。
有価証券報告書閲覧サービス(通称:EDINET =エディネット) http://info.edinet.go.jp/
自社のHPで公開している企業もあります。
上場企業の株を買うときの判断材料にも使えますよ!!
● 終わりに
自社の数値をライバル会社と比較すると自社の強み・弱みを明らかにすることが出来ます。これにより自社の特性に応じた柔軟かつ効果的な経営戦略をとることも可能になります。
清友会計舎では総合的に経営コンサルティングを行っておりますので、お気軽にお尋ねください。
また、清友会計舎通信でも、より具体的な経営改善方法を取り上げてまいります。
株式会社清友会計舎・清水税理士事務所
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