株式会社清友会計舎

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    清友会計舎通信

相続税 入門
第14号(2005年8月)

 今年も8月になりました。筆者は税理士試験が終わり、一息ついているところです。今年は相続税を受験しました。結果はまだわかりませんが、今後は相続税の勉強の成果を実務にも活かせればと考えています。

 ところで、相続税はどういった人が納めるのでしょうか。たいていの方は、誰かが死んだときに、その遺族が相続税を納めると漠然と考えているのではないでしょうか。私事ですが、筆者の祖母が死んだときも、父は、相続税の申告が必要なのかと気をもんでいました(もちろん、相続税がかかるほど我が家に財産はないのですが)。このように、相続税の申告については意外と知られていません。

 今回は、どういった人が相続税の申告をしなければならないのか、簡単に説明したいと思います。

 

(1)相続税を申告する人・しなくていい人

 

○申告する人

 

要件

遺産の合計額 > 基礎控除額

遺産を相続した人は、故人が亡くなってから10ヶ月以内に、申告書を提出し、相続税を納めなければなりません。

 

○申告しなくていい人

 

要件

遺産の合計額 ≦ 基礎控除額

 

 遺族の代表の人は、故人が亡くなってから4ヶ月以内に、亡くなった方の所得税の準確定申告をする場合があります(相続税の申告の有無は関係ありません)。詳しいことは当事務所へお尋ね下さい。

 

 

(2)「遺産」の範囲

 

 

 

相続税は故人の遺産に課税されると思われがちですが、それだけではありません。ほかにも遺産とみなされて課税されるものがあります。A、Bの財産は忘れがちなので、注意して下さい。

@ 亡くなった方の遺産(預貯金、動産、不動産、貸付債権など)。家族名義の預貯金(いわゆるヘソクリ)も忘れずに。

A 生命保険金退職手当金(いずれも被相続人の死亡により支払われるものに限る)、債務免除益など。

B 亡くなった方から死亡前3年以内に贈与された財産・相続時精算課税適用財産。

 

(3)「基礎控除額」の計算方法

 

 

 

5千万円+(1千万円×法定相続人の数)

(4)法定相続人の数

 

 

 

(3)に出てくる法定相続人は、「配偶者相続人」と「血族相続人」の2つに大別されます。「血族相続人」は、そこからさらに細かく分類されています。具体例とあわせてご覧下さい。

@    配偶者相続人‥‥亡くなった方の妻または夫のこと。常に相続人となります。

A    血族相続人‥‥子、親、兄弟といった、亡くなった方と血のつながりがある人のこと。3つのグループに分けられ、それぞれ優先順位が付いています。

※ 代襲相続人‥‥相続人が死亡していた場合には、その相続人の子が代わりに相続人となります。これを代襲相続人といいます。血族相続人のうち、第一順位、第三順位の相続人のみ代襲が認められます。

 

○ 血族相続人の内訳(例は、いずれもが亡くなった場合を想定)

第一順位‥‥亡くなった方のとその代襲相続人

法定相続人:次男3人

基礎控除額:5千万円+(1千万円×3人)=8千万円

 

※孫は、長男の代襲相続人になります。

 

第二順位‥‥亡くなった方の父母、祖父母。第一順位に該当する人がいない場合に相続人になります。

法定相続人:2人

基礎控除額:5千万円+(1千万円×2人)=7千万円

 

※第一順位の長男は死亡しているため、第二順位の母が相続人になります。

 

第三順位‥‥亡くなった方の兄弟姉妹とその代襲相続人。第一、第二順位に該当する者がいない場合に相続人になります。

 

法定相続人:3人

基礎控除額:5千万円+(1千万円×3人)=8千万円

 

※第一順位の長男、第二順位の父、母は死亡しているため、第三順位の弟、妹が相続人になります。ただし、妹は死亡しているので、姪が妹の代襲相続人になります。

 

 

 

※ 亡くなった方に養子がいる場合や、相続人が相続を放棄した場合には、法定相続人の数が

ちがってくることもあります(詳しいことは当事務所へお尋ね下さい)。

 

○最後に

財産の総額がいくらなのか、基礎控除額がいくらなのか。それがわかっているだけで、万が一、不幸にも誰かが亡くなられても、相続税に関してはそう慌てることもありませんし、生前から相続税対策も立てやすいかと思います。参考になさってください。より詳しく知りたい方は、お気軽にお尋ね下さい。

(文責 篠原俊吾)